対抗要件というのは、当事者間の権利関係の得喪変更を、第三者に対して主張しうるための法律要件のことをいいます。 この対抗要件は、権利の目的によって内容は異なります。
不動産では登記が対抗要件です。 例えば、土地の所有者Aから土地を二重に譲り受けたBとCのうち、Cが先に所有権移転登記をすると、譲受契約がBよりも後であったとしても、Bに対して所有権を取得したと主張できます。 逆に、登記をしないBは、Cに所有権の主張ができません。
動産の場合には、引渡しが対抗要件です。
指名債権では、例えば、AがDに対する貸金債権をBに譲渡したことをDに対抗するためには、AのDに対する通知またはDの承諾が必要になります。 また、AがB、Cに二重に譲渡した場合のB、Cの優劣を決するには、AのDに対する確定日付のある証書による通知の到達、または、Dの確定日付のある証書による承諾の前後によります。